ハクモクレン

国道171号線のドン・キホーテ箕面店前から茨木方面に車で走って一つ目の信号交差点、「稲2丁目」の交差点があります。そこで右手にふと目をやると、白い花が満開に咲くひと際大きな木が目に飛び込んできます。

遠目で見ると木にこんもりと雪でも積もったかのように、陽光に輝いています。近づくと、白木蓮(ハクモクレン)でした。ちょうど今の時期、どこでも満開ですが、道路わきにこんな目立つ木が1本だけ植えられているのも珍しいです。

純白の花弁の下の方はほんのりとピンク色がかっていて、なんともいえない上品さがあります。鼻を近づけてみると、大きな花の割にはそれほど強くはないのですが、柑橘系の香りがツンっとします。

木の足元には早くも白い花弁が散って広がっています。木の下に立つと、純白の花びらたちを通って日の光が淡く変換され、そこらじゅうがぼわっと照らされ、足元に広がる花びらと相まってなにかここだけ、特別な場所のような雰囲気に酔いそうです。

桜のトンネル

住宅街にある桜のトンネル

国道171号線から箕面駅に向かって南北に延びる道路はいつも車で混んでいますが、その道の一本東側に、それと並行して南北に住宅街を走る道があります。あまり詳しくは書きませんが、箕面に越してきてほどなく見つけたこの道は、古い桜の木が道の両側に立ち並び、木の枝が両側から道の上を覆うようにトンネルを作っています。春になったらきっと桜の花がきれいに違いないだろうな、とワクワクしたものです。それほど人通りの多くないこの道を、春うららかな日に、そっと一人で歩いて桜の花を独り占めしてみたい。この道を通るたびに、そんなことを考えて密かににんまりとします。

そろそろ桜の開花情報がニュースを賑わすようになってきましたね。でも街中を散策していると、つくづく日本人は桜が好きなんだなぁと実感するほど、あちこちに桜の木があります。前に住んでいた豊中桜塚の桜塚墓地周辺も、隠れた桜の名所でした。夜に墓地のそばを通ると、街灯に照らし出された桜の花が続く下を歩き、まるで映画の世界に迷い込んだような幻想的な気持ちになったものです。とっても贅沢なひとときでした。

今年も昨年に続きコロナが流行する中で、密にならないように「桜の名所」と呼ばれる場所へ出かけることを控えるように呼びかけられていますね。こういう時こそ、自分だけがそっと楽しめる桜の場所を見つけてみませんか?

楚々としてうつむく

スノーフレークという多年草がちょうど咲き始めました。ヒガンバナ科に属する球根草です。一度植えると何年もの間、毎年春に花穂をあげてくれます。

裾に大きな斑点柄を絶妙にあしらった、ぼんぼりスカートのようなユーモラスな姿です。すずらんの花によく似ていて、すずらん水仙とも呼ばれたりします。

それにしてもこの、楚々としてうつむく花の姿、だれがこの姿をデザインしたの?と不思議になるほど、物思いに耽って首をそっと垂れている清楚な女性の姿を思い起こさせてくれる絶妙な姿をしています。

スノーフレークとは、雪片、雪のかけら、という意味です。風にゆらゆらと揺れる純白の花たちの連なりを、ひらひらと舞い降りる雪片にきっと重ね合わせて見たのでしょう。