春の色というと、多くの人は桜の淡い桃色をイメージするでしょう。でも、春は黄色から始まるんだなと、いつも思います。
年が明けて、私が最初に目にする花は、ロウバイの淡いレモン色です。そしてサンシュユの、線香花火のようなカタチをした黄色の花。やがて水仙の花穂が立ち上がり、中心の黄をそっと覗かせます。特に私は箕面に越してきて、お庭に結構サンシュユの木が植えられているんだなと、最近花が咲いているのを見て知りました。
低い雲が垂れ込める日本の冬の日々、その陰鬱なモノトーンの風景にあらがうかのように黄色い花をちらっちらっと開く木々たち。これらは偶然なのか、それとも自然の神さまの大いなる意図なのでしょうか。やがて張り詰めた寒気がやわらぐ日がぽこっと出ると、畑の菜の花が一気に開花し、庭のミモザアカシアも一斉に咲き誇り、早春の黄色祭りがクライマックスに達します。
春は黄色から。暗い冬の空を吹き飛ばすように、自然は設計されているのだと思います。